プラズマの効果に関する考察

Dbd

プラズマはどんな原理で様々な効果を発生するのか。
もう少しわかりやすく説明しておきたいと思います。
物理や化学でよく聞く言葉に「安定した物質」「不安定な物質」というのがあります。原子の模型図をよく見るとわかるのですが、原子核の周りを電子がまわっています。そして、その電子が回っている軌道には電子が入る数が決まっているのです。一番内側が2個二番目が8個三番目が18個という具合に軌道の番号の二乗かける2という式でなりたっています。ところがこの物質に熱や光等のエネルギーが与えられると電子が飛び出してしまい非常に不安定な状態になってしまいます。このようにバランスを崩した状態がラジカルという言葉で表されることが多いようです。そしてバランスを崩した物質は元の物質に戻ろうとして他の物質と結びつくような働きが強くなってしまいます。これを表したのが「活性化した物質」という言葉で表されます。
プラズマ放電をするとまさにこの不安定な物質の状態を作り出すことになります。それはまた非常に活性化した状態とも言えるのです。大気中で行えば大気の8割近くを占めるチッソが不安定な状態になります。チッソから飛び出した電子やバランスを崩した原子核が他の物質と結びつこうとする力が有害ガスの分解や匂いの分解という効果になってきます。
また、飛び出した電子や原子核が空気中の細菌やウイルスの細胞壁を壊すために殺菌や除菌の効果があると考えられています。
そのほかにも飛び出した電子や原子核が金属表面や樹脂表面にぶつかることによって表面の汚れをとったり、表面に張り付いた物質と反応することで表面処理効果が発生します。いうなれば、表面を細かい砂で研磨する以上に電子や原子核という細かな物質で表面を研磨しているようなものなのです。
この辺りはもう少し細かく分けて説明をしていきたいと考えていますのでお待ち下さい。
それから最後にプラズマが光を発するのはプラズマでばらばらになった電子がもとに戻ろうとするときに出すエネルギーが発光という現象を引き起こしているものなのです。

熱放射性薄膜

昨日熱放射という現象について説明しましたが、それは実際どのようにして起きるのかを簡単に説明しておきます。

シリカやアルミナのような金属酸化物微粒子は熱や衝撃というエネルギーを受けることによって固有の振動を発生させます。この振動数がちょうど長波長の光の振動であることから、金属酸化物が薄膜の中に分散している状態では長波長の光が外部に出ていくことになり、光というエネルギーによって内部のエネルギーを放出させることになります。通常に考えられている金属酸化物個体のセラミック断熱材として考えられていますが、薄膜化することでエネルギー放出が可能になります。
しかもこれは薄膜を形成した面からのみ発生しますので、熱というエネルギーを放射させる方向をコントロール出来ることになります。
簡単ですが、こんなイメージです。
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熱源から金属に伝わってきた熱エネルギーを薄膜を形成した方向にのみ光エネルギーとして放出することが可能になります。
この薄膜は非常に密着性が高く、金属であればほとんどのものに形成することが可能です。昨日も書きましたが色彩も自由になります。
熱マネジメント技術として試しておいて損はないと思いますよ。





熱放射という考え方

世の中では、様々な場面で熱による問題が起きていて、多くは発熱している熱をどのように外部に逃がすことが可能かということが問題になっています。

まあ、人間も熱を出すと様々なツールを使って体内の熱を外部に出す工夫をすることが医療の上では重要な課題になっています。最近は張り付けることによって熱を吸収するようなものがたくさん登場してきてどんどん進歩しています。
それはそれとして、産業の中でも発熱による機械異常や故障が発生することが多く、最悪の場合には発火するという結果を導いてしまい重大な問題になることもあります。最近では電池からの発火がたびたび新聞を賑わしています。
特に、電子機器においては小型化すればするほど熱の問題は難しい状況を招いています。パソコンの熱をとるのにファンで風を送っているのをみても問題は簡単ではないことを表しています。
熱といえば、熱伝導・対流という言葉が思い浮かびますが、熱問題の多くは熱伝導をよくすることで解決を図ってきているようです。まあ、余談ですが、私は対流というのは熱伝導の一形式だと思っているのですが。
熱伝導の良い物質、銅やアルミを用いて熱源の熱をいかに外部に伝達するかが設計上の重要ポイントでした。
ただ、小型化や高機能化によってそれも限界を超えてしまっているような状況も多々見うけられます。
そこで、熱の伝達方式として熱放射について考えてみたいと思います。そもそも地球上の熱は太陽からやってくる光が地球の大気(温暖化物質)に当たって発熱をしています。太陽から地球に光が届くまでに8分以上もかかるけど、地球はちゃんと温められていることから考えれば物質がもつ熱放射性能を無視するのは妥当ではないと思います。
先ほど熱伝導のよい物質としてアルミを例に挙げましたが、普通のアルミの放射率は0.055程度ですから、熱は伝えるけどアルミそのものが積極的に外部に熱を放出する性能は低くなっています。つまり、アルミに溜まった熱は空気という熱伝導が悪い物質によって遮られることになってしまいます。
ところが、様々な物質の中には非常に放射率の高いものも存在します。例えば酸化した鉄は放射率が0.9近くあり溜まった熱を光のエネルギーに変えて外部に放出しています。よく「黒体放射」という言葉が使われていますが、黒い物質は熱放射率が高くなっています。ただ、熱放射率が高い物質は熱吸収率も高くなっています。冬に黒い色を着用すると太陽の熱をたくさん吸収して暖かくなるのがその現象を表しています。
ここで、熱エネルギーを光で放射すると言っていますが、その正体は波長の長い遠赤外線と言われる領域の光です。遠赤外線といえばヒーターとか炭火の説明でよく用いられる単語です。
この遠赤外線は優れた特徴を持っていて、光として当たった物質を温めるという特徴を持っています。太陽の光が地球上の大気に当たって初めて熱になるのを考えてみればよく分かると思います。これを逆に考えれば地球のように大気を持たない星にあたると、星の土壌そのものを温めてしまい光が当たっているときは200℃とか300℃になるけど、光が当たらなくなると−200℃になるような現象が物語っていることからわかると思います。
さらに、遠赤外線で調理をすると肉や魚がおいしく焼けると言われますが、これも遠赤外線が肉や魚内部の水分に当たることによって水分を振動させて熱を発生させるからです。肉や魚が中までふっくら焼けているというのはちゃんとした理由があるのです。
遠石ヒーターが暖かいのも当たっている人間内部の水分を振動させているからです。ですから、遠石ヒーターの当たるところから少しでもずれると暖かくなくなってしまいます。これは遠赤外線は当たっていない周囲の空気を温めないと効果ももたらします。
弊社では金属酸化物のナノ粒子を研究する中から、エネルギー放射を有効に利用できるツールも数多く見出しております。色が黒いから放射するだけではなく、青でも赤でも白でも熱放射することは可能です。また、200℃を超えているような領域でも十分に使用が可能です。
あと数℃温度を下げたいあるいは熱を遮りたいというときなど本当に有効に使えるツールだと考えています。
ツールの詳細は次回お知らせすることにします。

耐熱性反射膜

光関連の機器開発の中で重要なポイントになるのが反射板です。一つの光源から後方に向かおうとする光を反射して前方に向かわせることで光のロスを防ぐことが光量を上げる上ではとても大切な技術になります。

また、蛍光灯や白熱球を触ってみればわかりますが、発光するデバイスは想像以上に高温になっています。これはLEDも同じで発光する部分は低温ですが、その発光のもとになる半導体自体は高温になってしまいます。LEDについていえば、最近のように光量があがれば温度は急上昇してきています。
ですから、反射板もただ反射率が高いだけでなく、高温になっても変色しないことが重要なポイントになってきます。
現状では反射率の高い素材はたくさん出てきていますが、それはあくまで初期値であって、通常使用でも70%程度まで反射率が落ちてしまうものがほとんどです。こんな状況ですから発光デバイスが出す高温でも変色しない素材は皆無と言ってよいような状況です。
そこで弊社では変色しない素材を開発しました。
下の写真は200℃に2時間保持した後の状況です。この状態で90%以上の反射率をキープしています。同時に200℃に2時間保持したエポキシ樹脂の膜の変色との違いを確認して下さい。
まず弊社開発品です。
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続いてエポキシ樹脂です。
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エポキシ樹脂ではご覧のように変色が激しくなっています。ベースとなる樹脂が変色してしまえばどんなに白いフィラーを使ったとしても変色するのは避けられません。反射板が変色すれば当然出てくる光の色も変わっていきますから得られる光量をさらに下げる結果になってしまいます。

光というどこにでもある技術においてもこうしたバックアップ技術を開発することで、取り出せる光量を高く保つことが出来、それは結果として省エネに直結してきます。みんなが見逃しがちな技術であっても省エネのためには大きなポイントであることをもう一度見直す必要があるし、皆さんに知っていただきたいと考えています。





熱電変換素子についてもう少し

世の中で熱を電気に変える「熱電変換素子」は異なる物質の両端に温度差を生じさせることで電気が起きる「ゼーベック効果」を利用しているものがほとんどです。

温度の差によって電圧を発生させることがメインですから、その両端に用いられる素材はまったく逆の性質を持つことが重要になり、現在の技術では素材としては非常に高価な材料を用いています。さらに、小さな素子の両端の温度に差を持たせるために熱の伝わりにくい素材を両端の間に挟み込むなどの工夫がされています。ただ、素材にしても組み立て工法にしても非常にコストがかかるモノになってしまっているようです。
このブログでも何度も書いていますが、熱から電気を取り出すシステムはもっと安価でなければ一般家庭にまで広がっていくのは不可能だし、もっともっと多くの人々が省エネを意識しなくても省エネが出来ていくシステムでなければ絶対に持続性がないと考えます。
弊社の熱電変換素子は以前にも紹介しましたが、ごく普通の誘電体を用いることによって低温から発電することが可能になっています。弊社では、シリカ・アルミナ等の金属酸化物ナノ粒子を的確に分散させることによって熱放射率の高い膜を形成できますから、片方の面からどんどん熱を放出させて両端に温度差を作り出す技術も生かされています。
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このようにアルミの板と銅のメッシュ板を誘電体で張り合わせただけの素子です。     Adsiep
そんな簡単なシステムでも表のようにごく低温から出力を得られています。今までは熱が出ていても低温から出力できる素子がなかったために見過ごされていたエネルギーからも電気が得られるという結果になっています。これであれば一般家庭や小さな工場の排熱からも十分にエネルギーを得ることが可能になってきます。小さなエネルギーでも安価なシステムを利用することで、発電する数を稼げばチリも積もれば山となるです。
もう一度エネルギーの有効利用を検討する良い機会になってくれるツールだと思います。